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2008年8月 3日 (日)

Simplex "Prestige 532" 1962

2008_08030001 昨日は1962年製の英国「HETCHINS」をご紹介しました。 同じ1962年、わが愛すべきフランスでは何が起こっていたのでしょう。

当時、フランスの変速機分野における双璧だったHuret社とSimplex社。Simplexの社長、Lucien Juy氏はこの年、大胆な決断をします。「すべてのラインナップを新しい素材、そう、プラスチックで作るぞ」と。

1954年発売の名機「JUY543」、それを発展させた「JUY RECORD 60」と、タケノコ式変速機を究極まで追い求めてきたSimplex社でしたが、1961年の「JUY EXPORT 61」で初めてパラレログラム式の変速機を出したかと思いきや、そのわずか1年後に出てきたのがご覧の「Prestige 532」でした。

2008_08030003 指で回すハイ・ローの調整ネジ(左写真)や鉢型にへこんだプーリーケージ、左右非対称のプーリーなど、前年の「JUY EXPORT 61」を引き継いだ機構や形状も多かったこの「Prestige 532」。

しかし失ったものも大きかったようです。つまり、ピカピカで重厚感あるクロームメッキの本体がいきなりこんな安っぽいプラスチックですからね・・・(笑)

2008_08030008 62年のTour de Franceで優勝した Jaques Anquetilが乗ったマシンには早くもこのプラスチック製変速機が付いていました。

でもさすがにプラスチックだけだと強度的な不安があったのでしょう、その後、鉄板で補強したり様々な改良を加えながら次々と新しい型式が発表されました。

上写真は72年製の「Prestige "CRITERIUM" 637」。

2008_08030010 しかし、レース用マシンの定番コンポーネントとしての座を確立していたイタリアの「Campagnolo」に対抗するためには、強度・軽量・レスポンスの三拍子揃った変速機が必要だったのでしょう。プラスチックの採用を宣言してから10年後の1972年、オール軽合金の「Super LJ」シリーズが発表されることとなります。

そして75年には地元フランスの英雄、Bernart Thevnetがこの「SLJ」を装備したPEUGEOTを駆ってTour de Franceを制することとなりました。

2008_08030007 ただし「SLJ」シリーズが中心になったとは言え、廉価版として相変わらずプラスチックを用いた変速機も売り続けていたようです(左写真は、LJ4000)。

 

 

 

ところで、この「プラスチック」ですが、正確にはデュポン社が特許(1956年)を持つ「デルリン」という素材が用いられています。軽量であることはもちろん、なめらかで耐水性があり、かつ90℃超の高温にも耐えることができるものだそうです。

しかし、昔からの自転車乗りの方は先刻ご承知でしょうが、このデルリン、経年とともに表面が白濁化します。私の愛車、PEUGEOT PX-10に使っているフロントの "CRITERIUM"も真っ白です。シリコン系保護剤の「アーマオール」などで復活できると聞きましたので、さっそく試してみようと思っています。

 

 

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