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2009年11月 8日 (日)

Simplex Type "39" & "Grand Tourisme" 1940s

2009_1108_022 ハンドメイド・バイシクルの"Golden Age"と呼ばれる時代、とりわけ1940~50年代のフランス車はツーリングを愛するマニア垂涎の対象です。 そしてそんな車両に装備された当時のフレンチパーツもまた我々を魅了してやみません。

2009_1108_020 この頃の変速機には、プルプル式(ヘリコイド)、タケノコバネ式(トグルチェーン)、そしてこのSimplex "Grand Tourisme"や"RIGIDEX"に見られるカム式(※)といった様々な機構が林立していました。

※ワイヤーで引かれたカムがシャフトを押し出すことによりプーリーがギア間を往復し、チェーンを移動。

 

2009_1108_031 "Grand Tourisme"が発売された時期は定かでありませんが、手持ちの1948年のSimplex社カタログにはすでに登場しています。

鉄製で質量360g、軽量タイプで300gとの記載があります。

 

 

2009_1108_023 ところが僕の手元にある"Grand Tourisme"は、写真のとおり"Grand Prix Dural"と刻まれたアルミ製で、質量は220gでした。

当時、鉄製とアルミ製の両方が同時に生産されていたのか、それともアルミ製はずっと後年の製品なのか、よく分かりません。

ただ、ブラケット部ならびにシャフト先端のアルミ蓋には"LE SIMPLEX"と刻印があります。 2個のプーリーがベアリング付き鉄製であること、およびLE→LJ→JUYと変遷していった経緯を振り返るとやはり40年代~50年代初頭の製品なのだろうと推察されます。

2009_1108_021 一方のフロント変速機"Type 39"です。

こちらはいわゆるタケノコバネ式で、トグルチェーンを引くことでプレートを移動させます。

ニッケルメッキが黒ずんだプレートはその機構と相俟って重厚感というかある種の迫力を醸しています。

 

2009_1108_026 当時、フロント変速機においても、このタケノコバネ式以外にロッド式や前引きワイヤーによるヘリコイド式などが同じSimplex社からリリースされていました。

トグルチェーンを内臓したシャフトの他、もう一本のシャフトを設けて変速時の精度確保が図られていますね。

 

2009_1108_028 フロント変速機のレバー。

"LE SIMPLEX"との刻印が見えます。 これはマイナスネジで留められていますが、同時期、オプションで蝶ネジも用意されていたことが52年版カタログからうかがえます。

そういえば以前、蝶ネジについて記事を書いていたことを思い出しました。 この記事に出てくるレバーは"L.J. SIMPLEX"刻印です。

2009_1108_029 52年版カタログでは、同じカム式のリア変速機が"Grand Tourisme"と"RIGIDEX"の2系統に分けられています。

何がどう違うんだ?というところですが、カタログの記載から推測するに"RIGIDEX"は、"CYCLO-MOTEUR"つまり自転車に小型エンジンを搭載したモーターサイクルでの利用も考慮した製品であったようです。
機構は全く同じですが、モーターサイクル用チェーンサイズへの対応をはじめ、全体の作りや剛性が高められたというところでしょうか。

さて、こんなパーツのひとつひとつから一台の自転車へと夢が大きくなっていくのも自転車趣味の醍醐味のひとつです。 「一個のパーツから自転車を生(は)やす」なんて言ったりしますね。
しかし、目指す時代は1940~50年代(笑)。 フランスのエスプリ溢れる優雅なまさに"Golden Age"のマシンを「生やす」のは並大抵のことではなさそうです・・・。

 

【追記】

記事中、"Grand Tourisme"に"Grand Prix Dural"との刻印があるとご紹介しましたが、これに関していつも掲示板「RRCB」でお世話になっているUGの兄♭♭♭さんから、「これはコンクール・デュラルマン向けに用意された特別仕様だ」とお教えいただきました。
コンクール・デュラルマンとは当時のフランスにおいて、自転車メカニズムの追求として軽量化の限界に挑むことを目的に1935年に第一回が開催された技術コンクールです。
もちろん、軽ければいいというものではなく、4日間におよぶアルプスの山岳コースでの走行を競い合うとともに、走行後の自転車の破損等トラブル状況を得点化し優勝者(車)を決めるというものです。
そのようなコンクールに出場し、何度も優勝を重ねることで名声を高めたのが「Rene Herse」であり、そのマシンに乗ったLysianeだったのでした。

 

 

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