Simplex "JUY 53" 1952
ご紹介するのは、フランス「Simplex」社が1952年に発表した"JUY 53"です。
いわゆるヘリコイド式といわれるもののひとつで、ワイヤーを引いたり緩めたりすることで、らせん状に溝が掘られたシャフトが左右に移動し、ギア間でチェーンを架け替える動作を行います。
ところでこの"JUY 53"、もちろん中古なのでプレート内側にはチェーンによるスレが残っています。
よく見ると、クロームメッキの剥げた部分が胴色に光っているのですが、これはクロームメッキの下地としての胴メッキなのでしょうか?
いつ頃まで続いていた処理方法なのか分かりませんが、50年代当時はこのような手のかかったメッキ処理が標準だったのでしょうか・・・。
さて、"JUY 53"と合わせるとちょうど良い同時代のリア変速機はSimplex社の"JUY 51"(写真)や"Tour de France"なのでしょう。
しかし、この"JUY 53"を使うには、通常のWレバーの左側ではワイヤーを引くことが出来ません。 いわゆる親子レバーで前後変速機を操る必要があります。
う~ん、しかしSimplex社の親子レバーなんて見たことも無い希少品、こののち果たして手に入れることなんて出来るのでしょうか・・・。
時は同じく1952年、Simplex社とライバル関係にあったフランス「Huret」社もヘリコイド式のフロント変速機を出していました。
ただ、こちらはワイヤー引きではなく、写真のとおりレバーを上下させることでシャフトが左右に動作するものです。
当時、長らくHuret社の変速機を愛用していたフランスが誇る名選手ルイゾン・ボベ(1925~1985)は、このアッセンブルで1953~55年、ツールドフランス三連覇を成し遂げたのでした。
ちなみにこのルイゾン・ボベの名を冠したHuret社のリア変速機"Special LOUISON BOBET"は、自動デテンションをうたったSimplex社の"JUY 51"と違い、二本のワイヤーを親子レバーで操り、チェーンのテンションを調整する必要がありました。
それにしても、フロント変速機のレバーの上下操作といい、変速直後(同時?)にチェーンの弛みを親子レバーで調整するなんていう、手元パチパチッ操作(笑)の現代では考えられないくらい面倒なオペレーションですが、カンパのカンビオコルサと同じく、一度は実際に使ってみたい変速装置ですね。
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